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DoS(サービス拒否攻撃)とは?

DoS攻撃は、攻撃者がサーバーやネットワークに対して大量のリクエストを送り、システムのリソースを使い果たさせることによって、正規のユーザーがサービスを利用できなくする攻撃です。サービスが停止するか、著しく遅延することで、企業や組織は多大な損失を被る可能性があります。


DoS攻撃の主な目的

  • サービスの停止:ターゲットのサーバーやWebサイトが停止するようにリクエストを送り続けます。

  • パフォーマンスの低下:ターゲットのシステムのリソースを使い果たし、正常なユーザーがサービスを利用できない状態にします。

  • 経済的・信用の損失:サービス停止により企業の収益や信用が低下することを狙います。



DoS攻撃の仕組み

DoS攻撃には様々な手法がありますが、一般的には以下のような手法で実行されます。

1. リソース枯渇攻撃

サーバーやネットワークのリソース(CPU、メモリ、帯域幅など)を大量のリクエストで使い果たすことで、システムを過負荷にしてダウンさせる手法です。リクエストが処理しきれなくなると、サービスが停止したり、非常に遅くなったりします。

例:HTTPリクエストフラッディング

攻撃者がサーバーに大量のHTTPリクエストを送りつけ、サーバーのリソースを消耗させます。正規のユーザーからのリクエストも処理できなくなり、サービスが利用できなくなります。

2. プロトコル脆弱性の悪用

システムやネットワークプロトコルの脆弱性を悪用し、サービスを妨害する手法です。特定のプロトコルやサービスが大量のリクエストや異常なパケットに対してうまく処理できない場合、攻撃者はこの弱点を利用してサーバーをダウンさせます。

例:SYN Flood攻撃

TCPプロトコルの三者間ハンドシェイクの仕組みを悪用した攻撃です。攻撃者は大量のTCP SYNパケット(接続要求)を送信し、サーバーに無限に接続を待機させることで、リソースを使い果たし、新しい接続を受け付けられない状態にします。

3. アプリケーション層の攻撃

Webアプリケーションに特化した攻撃です。大量のリクエストや特定のリソースを要求することで、アプリケーションのパフォーマンスを低下させたり、停止させたりします。

例:Slowloris攻撃

攻撃者がWebサーバーに対して非常にゆっくりとリクエストを送信することで、サーバーのリソースを使い果たす手法です。サーバーはリクエストが完了するまで接続を維持し続けるため、他のリクエストを処理できなくなります。



DoS攻撃とDDoS攻撃の違い

DoS攻撃は単一のコンピュータやネットワークから行われるのに対し、DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃は複数のコンピュータやネットワークを使って同時に攻撃が行われます。DDoS攻撃は、ボットネットなどを利用して大量のコンピュータを制御し、同時に攻撃を行うため、より広範で強力な攻撃となります。

  • DoS:単一の攻撃元からリクエストを送りつける攻撃。

  • DDoS:複数の攻撃元から同時に攻撃を行う、より強力なDoS攻撃。



DoS攻撃のリスク

DoS攻撃が成功すると、以下のようなリスクや被害が発生します。

1. サービス停止による損失

サービスが停止することで、企業は直接的な売上減少やビジネス機会の喪失を被る可能性があります。また、停止時間が長引くほど、損失も大きくなります。

2. ブランドイメージの低下

顧客がサービスにアクセスできなくなることで、企業の信頼性やブランドイメージに悪影響を与えることがあります。特に、頻繁にサービスが停止する企業は、競争力を失うリスクがあります。

3. 間接的なセキュリティリスク

DoS攻撃は、他の攻撃を行うための前段階として使われることがあります。サービスが停止している間に、データ盗難や不正アクセスなど、さらに深刻なセキュリティ侵害が発生するリスクがあります。



DoS攻撃の防止策

DoS攻撃を完全に防ぐことは難しいですが、攻撃の影響を最小限に抑えるための対策を講じることが重要です。

1. レートリミッティング(Rate Limiting)

1秒間に処理できるリクエスト数を制限することで、大量のリクエストを受けた際にサーバーの過負荷を防ぎます。例えば、IPアドレスごとに一定のリクエスト数を超えた場合、接続を一時的に遮断するなどの対策を講じることができます。

2. Webアプリケーションファイアウォール(WAF)の導入

WAFは、Webアプリケーションへの攻撃を検出し、フィルタリングするツールです。DoS攻撃をはじめとした様々な攻撃をブロックするのに役立ちます。WAFを導入することで、異常なリクエストを検出し、サービスが正常に稼働するように保護します。

3. CDN(コンテンツデリバリネットワーク)の利用

CDNを利用することで、サーバーへの負荷を分散し、攻撃が集中するリスクを軽減できます。CDNは世界中にサーバーを配置しており、リクエストを複数のサーバーで分散処理するため、攻撃が一部のサーバーに集中しても、サービス全体の停止を防ぐことができます。

4. IPフィルタリング

不正なリクエストを送ってくる特定のIPアドレスをブロックすることで、攻撃者からのアクセスを防ぎます。ただし、攻撃者が複数のIPアドレスを使用する場合には効果が限定的です。

5. 監視とアラート設定

ネットワークのトラフィックを常に監視し、異常なリクエストが増加した際にアラートを設定することで、DoS攻撃の兆候を早期に検出できます。迅速に対応することで、攻撃の被害を最小限に抑えることが可能です。



まとめ

DoS攻撃は、サービスを停止させたり、パフォーマンスを低下させたりする非常に効果的な攻撃手法です。サービスの停止は、企業にとって経済的な損失や信用の低下を引き起こし、さらに他の攻撃への道を開くことにもつながります。DoS攻撃を防ぐためには、レートリミッティングやWAFの導入、IPフィルタリング、CDNの利用など、複数の対策を組み合わせてシステムを強化することが重要です。

セキュリティ対策を講じ、DoS攻撃からシステムを守ることで、信頼性の高いサービスを提供し続けることが可能です。

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