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RCE(リモートコード実行)とは?

RCE(リモートコード実行)とは、攻撃者が遠隔からターゲットとなるサーバーやシステム上で任意のコードを実行できる脆弱性のことです。この脆弱性を悪用されると、攻撃者はシステムに不正アクセスし、データの窃取や破壊、システムの乗っ取りを行うことが可能になります。


どのように発生するか?

RCEは、システムがユーザーからの入力を適切に処理せず、その入力をプログラムの一部として実行してしまう場合に発生します。以下のような要因がRCE脆弱性の原因となります。


サニタイズ(無害化)されていない入力

ユーザーの入力データがシステムやプログラムの中で直接実行される場合。


コマンドインジェクション

攻撃者がOSコマンドを注入し、サーバー上で実行させることができる。


不十分な権限管理

攻撃者が不正に管理者権限を取得し、コードを実行できる。



RCEの具体的な攻撃例

1. Webアプリケーションでのコマンドインジェクション

RCEの典型的な例として、ユーザー入力をシステムコマンドに渡す際のサニタイズ不足があります。以下のようなPHPスクリプトを考えてみましょう。

<?php $filename = $_GET['file']; system("cat " . $filename); ?>

ここでは、ファイル名をクエリパラメータとして受け取り、そのファイルを表示するためにsystem()関数を使っています。しかし、もし攻撃者がファイル名として次のようなコマンドを送信した場合はどうなるでしょうか。

?file=test.txt; rm -rf /;

このように入力がサニタイズされていない場合、rm -rf /(全ファイルの削除)が実行され、サーバーのデータが削除されてしまう可能性があります。


2. テンプレートエンジンの脆弱性を悪用

SSTI(サーバーサイド・テンプレートインジェクション)もRCEにつながる脆弱性の一つです。テンプレートエンジンがユーザー入力を直接評価してしまうと、攻撃者がテンプレートの中に任意のコードを注入し、それをサーバー上で実行することができます。

たとえば、FlaskのJinja2テンプレートエンジンを使って以下のようなコードがあるとします。

@app.route('/greet')
def greet():
  name = request.args.get('name', '')
  return render_template_string(f"Hello, {name}!")

ここで、nameに次のような値を渡すとどうなるでしょうか。

{{ ''.__class__.__mro__[1].__subclasses__()[59]('/bin/sh').read() }}

このコードが実行されると、シェルコマンドがサーバー上で実行されてしまい、システムの制御が奪われる可能性があります。



RCEの危険性

RCEは、攻撃者がターゲットシステムに対して非常に高い権限を持つ攻撃です。RCEの脆弱性が存在する場合、攻撃者は以下のような攻撃を行うことが可能になります。


1. データの窃取

攻撃者がシステムに侵入して機密データを取得することができます。例えば、ユーザーの個人情報やクレジットカード情報、パスワードなどが盗まれる可能性があります。


2. システムの完全な乗っ取り

RCEによって攻撃者は管理者権限を取得し、システムのすべての操作を自由に行うことが可能になります。これにはデータの削除、変更、あるいは他のシステムへの攻撃の準備も含まれます。


3. ランサムウェアの実行

攻撃者がRCEを利用してシステムにランサムウェアをインストールし、データを暗号化して身代金を要求することも可能です。



RCEの防止策

RCE攻撃を防ぐためには、いくつかの対策を講じる必要があります。以下は、その主な対策です。


1. 入力のサニタイズとバリデーション

ユーザーからのすべての入力は、サニタイズ(無害化)を行い、意図しないデータがシステムに渡されないようにします。特に、コマンドやテンプレートエンジンに渡される入力は、適切にエスケープ処理を行うことが重要です。


2. 外部コマンドの使用を避ける

可能であれば、ユーザー入力を基にして外部コマンドを実行しないようにしましょう。代替の安全な方法で処理を行い、直接コマンドライン操作を避けます。


3. 権限の最小化

アプリケーションやシステムで実行されるプロセスには、最小限の権限を付与するようにします。これにより、RCE攻撃が成功した場合でも、システム全体が侵害されるリスクを低減できます。


4. 最新のセキュリティパッチを適用

ソフトウェアやフレームワークの脆弱性を悪用したRCE攻撃を防ぐために、常に最新のセキュリティパッチを適用することが重要です。


5. Webアプリケーションファイアウォール(WAF)の導入

WAFは、不正なリクエストを監視し、RCE攻撃のような危険な操作を防ぐのに有効です。特定のパターンをブロックすることで、システムを攻撃から保護できます。



まとめ

リモートコード実行(RCE)は、攻撃者が遠隔から任意のコードを実行できる非常に危険な脆弱性です。この脆弱性を利用されると、システムの完全な乗っ取りやデータの窃取などが発生し、甚大な被害をもたらす可能性があります。RCEを防ぐためには、入力のサニタイズや外部コマンドの制限、セキュリティパッチの適用など、基本的なセキュリティ対策を徹底することが重要です。

セキュリティの基本を守り、RCE脆弱性を予防することで、より安全なWebアプリケーションやシステムを提供できるでしょう。

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