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【Black Hat Asia 2025】 AIウォーゲーム ― 実践型の攻防シミュレーション

更新日:6 日前

こんにちは、サイバーマトリックスのFaridです。今回で私の「Black Hat Asia 2025」のセッションレポートは最後となります。最後までぜひ、ご覧ください。


AI Wargame – A Hands-On Defense and Attack Simulation (実践型の攻防シミュレーション)

 最後のセッションは、手に汗握る実践形式の「Black Hat AI Wargame」です。これは“キング・オブ・ザ・ヒル”形式の対戦型シミュレーションで、参加者はそれぞれのチャットボットを外部からの攻撃から守りつつ、他の参加者のボットへの侵入も狙うというスリリングな内容でした。


 このウォーゲームは、OpenAIのGPT-3.5をベースに構築されており、各チャットボットにはシステムインストラクション内に「秘密情報」が埋め込まれていました。参加者のミッションは、この情報をいかなる方法でも漏洩させないよう、プロンプトインジェクション対策を講じてボットを防御することでした。


主なセキュリティ戦略としては、以下のような対策が紹介・実施されました:

  • 回答内に特定の語句が現れないよう、ストップワード(禁止語句)を追加

  • モデル出力のバリデーションとシステム指示の制限

  • コードをデプロイする前のセキュリティテストの実施

このセッションは、プロンプトインジェクションがいかに現実的な脅威であるかを体感できる貴重な機会でした。どんなに優れた言語モデルであっても、巧妙な手法で騙される可能性があるという現実を目の当たりにし、開発者が“レッドチーム”の視点――すなわち攻撃者の視点――を持つことの重要性が強調されました。LLM活用における「セキュア・バイ・デザイン」とは何かを、非常に具体的に理解できるセッションでした。


 社内でも、現在DevOpsのワークフローやカスタマーサポートの領域にAIアシスタントを統合していく動きを進めており、本セッションで得た知見は今後のセキュリティ設計に大いに役立つものと感じています。


最後に ― “研究と現場”の橋渡しの重要性を再認識


Thank you Black Hat!!
Thank you Black Hat!!

 Black Hat Asia 2025は、単なる講演を聞くだけの場ではありませんでした。セキュアな開発の未来を深く掘り下げる貴重な体験の場であり、私たちが日々取り組むソフトウェア開発が、単なる「コードを書く作業」ではなく、「現実の脅威に耐え得る強靭なシステムを構築する行為」であることを、改めて実感させてくれました。

 

 LLMによるSQLインジェクションの防止、ソフトウェア・サプライチェーンの防衛、AIを活用したAPI攻撃への対応――今回得たツールや知見は、すでに業務に具体的な変化をもたらしています。開発プロセスの早い段階からセキュリティを統合し、CICDGuardやFireTailといったオープンソースツールを積極的に導入、そしてAIシステムにおいてはセキュア・バイ・デザインの思想を実装しています。


 セキュアでモダンなアプリケーション開発に情熱を持っている方、ぜひ今後のサイバーマトリックスににご注目ください。私たちは「未来をコードで描く」だけではなく、「その未来をセキュアに守る」ことにも本気で取り組んでいます。


Stay safe, stay curious.(安全に、そして好奇心を持って)

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