【Black Hat Asia 2025】SQL-Data-Guard ― LLMとデータベースの安全な橋渡し
- Kyohei Komatsu
- 4 日前
- 読了時間: 3分
更新日:9 分前
こんにちは、サイバーマトリックスのFaridです。
シニアクラウドアーキテクトとして、常に進化をし続けるサイバーセキュリティとソフトウェアエンジニアリングの世界において、常に次の技術を学ぶ姿勢を大切にしています。
先週はその一環として、シンガポールで行われた「Black Hat Asia 2025」に参加してきました。最先端の研究の発表、実践的なツール、そして現場のセキュリティ知見が集結する、非常に刺激的なイベントでした。数日間にわたり、私は生成AI時代におけるLLM向けデータベースのセキュリティ、CI/CDパイプラインの強化、そしてAPIの脅威といった、サイバーセキュリティの最前線を網羅するセッションに参加してきました。これから何度かに分け、私が参加したセッションの中から特に印象に残ったトピックと、それらがサイバーマトリックスの取り組みにどのように通じるのかを紹介していきます。

SQL-Data-Guard: Safety Layer for LLM Database Interactions
(SQL-Data-Guard ― LLMとデータベースの安全な橋渡し)
大規模言語モデル(LLM)の登場により、私たちとアプリケーションとの関わり方は劇的に変化しました。しかしその一方で、特にデータベースを基盤とするシステムにおいて、新たなセキュリティリスクも生まれています。このセッションでは、LLMが生成するSQLクエリの安全性を確保するために設計されたセキュリティ・ミドルウェア層「SQL-Data-Guard」が紹介されました。
最大の課題は、LLMが自然言語をSQLクエリに変換・解釈する際に発生し得る脆弱性です。適切な防御策がなければ、SQLインジェクション、データ漏洩、過度に許可されたクエリといったリスクに直結します。
SQL-Data-Guardは、以下のような多層的な防御機能を提供します:
・実行前にSQLクエリの構造と安全性を検証
・ルールエンジンとパターンマッチングにより危険な操作をブロック
・より安全なクエリに関するフィードバックを開発者またはLLMに返すループを提供
特に印象的だったのは、ライブデモの中で、LLMが生成したクエリがどのようにして機密スキーマ情報を漏洩させ得るかを実演した場面です。これは、チャットボットを直接データベースと接続する際に現実に起こりうる脅威です。SQL-Data-Guardは、これらのクエリを即座に検知しブロックすることで、可視性と制御性を提供していました。
サイバーマトリックスでも、現在社内ツールへのLLM統合を検討しています。その中でこのセッションは、「Shift Left(シフトレフト)」のセキュリティ思考――すなわち、開発の早い段階からセキュリティを組み込む姿勢――の重要性を再認識させてくれました。プロンプト設計からデータベース接続に至るまで、安全性を内包したアーキテクチャの構築が、顧客データの保護とアプリケーションの健全性維持において極めて重要です。SQL-Data-Guardの明快かつ堅牢なアプローチには非常に感銘を受けました。LLMとデータベースの統合を検討されている方は、ぜひ GitHubのSQL-Data-Guard をチェックしてみてください。