概要
ディレクトリトラバーサル攻撃(Directory Traversal)は、攻撃者がWebアプリケーションのファイルシステムに不正にアクセスし、許可されていないファイルやディレクトリにアクセスする手法です。この攻撃は、Webアプリケーションが不適切に設計されている場合に発生します。
攻撃の仕組み
ディレクトリトラバーサル攻撃は、主に次のような手法で行われます。
攻撃者は、Webアプリケーションがユーザーからの入力を直接ファイルパスとして利用する際に、特殊な文字やパスを使用して上位ディレクトリにアクセスします。たとえば、「../」や「..\\」を使用することで、親ディレクトリに移動します。
例えば、Webアプリケーションが次のようなURLを使用してファイルを表示する場合:
http://example.com/viewfile.php?file=report.txt
攻撃者が次のように入力すると:
http://example.com/viewfile.php?file=../../etc/passwd
これは、システムの重要なファイルにアクセスしようとする試みです。この場合、/etc/passwd ファイルが読み取られる可能性があります。
影響
ディレクトリトラバーサル攻撃によって、攻撃者は以下のようなことが可能になります。
機密情報の取得: ユーザー名やパスワードなどの機密情報を含むファイルにアクセスできます。
システムの脆弱性を探る: サーバーの設定ファイルやソースコードにアクセスし、さらなる攻撃を計画できます。
システムの完全制御: アプリケーションやサーバーのファイルシステムにアクセスすることで、任意のコードを実行できるリスクがあります。
防御策
ディレクトリトラバーサル攻撃に対抗するためには、以下の対策が有効です。
入力の検証: ユーザーからの入力を厳密に検証し、許可されていない文字やパスを排除します。
サーバー設定の強化: Webサーバーやアプリケーションサーバーの設定を見直し、必要なディレクトリへのアクセス権を制限します。
アクセス制御: アプリケーション内でアクセス制御を適切に実施し、機密情報へのアクセスを制限します。
エラーハンドリング: 不正なリクエストがあった場合に、エラーメッセージを提供しないようにし、攻撃者に情報を与えないようにします。
まとめ
ディレクトリトラバーサル攻撃は、Webアプリケーションの設計上の脆弱性を突く危険な手法です。適切な対策を講じることで、これらの攻撃からシステムを守ることができます。セキュリティを強化するためには、継続的な脆弱性診断やペネトレーションテストが重要です。Webアプリケーションを開発する際は、常にセキュリティを考慮することが求められます。